#1 なぜ「速くならなかった」のか

回顧録
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こんにちは。
S&C(ストレングス&コンディショニング)コーチの田所海斗です。

記念すべき第1回目の記事なので何を書こうか悩んだ末に、今から約10年前、アスリートの指導をし始めた時に、1番自分の中に引っかかった「疑問」をテーマに書いていくことにしました。

そして、その疑問は、その後自分が「S&Cコーチ」として活動していく上で、今でも追求し続けているものです。
※というか他のS&Cコーチもみんなこれを追求し続けているはずですね。

そんなS&Cコーチにとって、とても「深い」テーマですが今回はアスレティック・パフォーマンスを向上させる上で基礎となる特異性の原則に触れながら、「現場のS&Cコーチ」という立場で書いていきたいと思います。

ちゃんとトレーニングはしているのに、なぜ速くならなかったのか?

その当時パーソナルトレーニングジムで働いていた私は、クライアントである某大学アメフトチームのサポートをさせてもらっていました。フルタイムではありませんでしたが選手の自主トレを含め週2〜3日はウエイトトレーニングを行い、持久力向上のためのラントレーニングも行っていました。(週2回程度)また、方向転換ドリルやアジリティドリルもウォーミングアップの中で取り組んでもらったりとその当時から体力要素としては様々な種類のトレーニングを施していました。

実際、測定数値は向上を示す選手もいれば、そうでない選手もいました。
しかしながら、競技としてスポーツをしている以上対戦相手よりも速く、強くなる必要があるのは当然のことで、また、上のディビジョンのチームに勝つためにはチーム全体に「物足りなさ」を感じていました。

アスリートに必要なトレーニングとは何か?

Strength&Conditioning(ストレングス&コンディショニング)コーチとは何か?

ストレングス(Strength)とは、筋力やパワー、持久力だけでなく、スピードやバランス、コーディネーションなどにも関わる筋の機能を指します。単に力が強いという意味だけでなく、筋の活動を適切にコントロールするための神経と筋肉の連携も重要です。

コンディショニング(Conditioning)とは、スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力などの競技パフォーマンスに関連する全ての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えること。

引用:NSCA JAPAN サイト内より

広義としては、「コンディショニング」という言葉の中には、栄養管理、精神的ケア、睡眠・休養の管理なども含まれますが、狭義のS&Cでは、それらを直接指導するのではなく、トレーニングの負荷や手法(フィジカル・運動面)に焦点を絞ります。

つまり、狭義のS&Cとは「ウエイトトレーニングや具体的な運動処方を通じて、筋力を鍛え、体のバランスを整える、現場での具体的なフィジカルトレーニング」と言い換えることができます。


自分の中に感じていた「速くならなかった」という違和感は、上記に示した定義を一度立ち止まって見直すきっかけになりました。

様々な体力要素の科学的なバックグラウンドを知る必要がある

アスリートが試合で最高のパフォーマンスを発揮するために、アスリートは競技に必要な全ての要素を「最適化」していきます。その最適化の作業をコンディショニングと呼ぶのですが、
体力要素とその相互的関係を図にしてみました。いずれにおいてもトレーニングの対象とすべき要素は多いですが特に、トレーニングを処方する上で負荷の調整として大事にしているのが筋力・スピード・持久力の関係性です。

この3つは運動を生み出すエネルギーに関わる能力として考えることができ、トレーニングに重要な対象であり、また疲労の影響を特に受ける能力でもあります。

また、一方を高くすると他方は低くなるという関係性がいずれの組み合わせにも存在する点が特徴です。トレーニング初心者を除き、何か一つのトレーニングによって、これらの要素を同時に向上させることは困難であることを示唆しており、よって強化したい能力に応じてトレーニング方法を選択する必要があります。

この3つの負荷の調整が偏りすぎると、その偏った能力に人間は適応してしまうので大きな力は出せるようになったけど遅くなったり長い時間運動し続けられるけど外からの力に弱かったり速く動けるけど後半はスタミナが保たない、というようなことになってしまうのですね。

その頃の自分に対して、今の自分なら「ウエイトトレーニングで大きな力をゆっくり出すことはやっていたけど、速く力を出すトレーニングをもっと積むべきでしたね」と声をかけてあげたいところです。

今回のまとめ

過去にうまくいかなかったことを書くのは正直なところ少し勇気が入りました。

ただ、当時うまくいかなかった要因を改めて言語化できているということは、同じ失敗を繰り返さないために「思考」し続けられてきた、ということでもあると感じています。

人を導く仕事だからこそ、こういった問いを持ち続け、S&Cコーチとして、これからも現場で考え続けていきたい思います。

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