S&Cコーチの田所海斗です。
スポーツの世界では、どうしても「結果」が注目されることが多いですよね。
試合の勝敗、タイム、記録、数字など。
トレーニングの現場でも同じで、重量が伸びた、スプリントが速くなった、ジャンプが高くなったといった「変化」が分かりやすい評価になります。
もちろんそれらは重要な指標ですし、トレーニングの目的はそういった「数字」を変えることが求められます。
しかし、現場で指導を続けていると、トレーニングは単純な結果の積み重ねではなく、プロセスそのものであると強く感じるようになりました。
結果はコントロールできない
トレーニングに限らず、スポーツの結果には、多くの要素が関わります。
- コンディション
- トレーニング歴
- 技術習熟度
- 回復状態
- 生活習慣
- 競技負荷 など
同じプログラムを実施しても、全員が同じ結果を得られるわけではありません。
むしろ、結果の現れ方には個人差があるのが自然です。
だからこそ、指導者が本当に向き合うべきなのは「結果」そのものではなく、
結果に至るまでのプロセスだと思います。
プロセスとは何か
ここで言うプロセスとは、単にトレーニングプログラムのことではありません。
例えば次のようなものも含まれます。
- トレーニング設計の意図
- 評価と観察
- 仮説と修正
- 技術習得の過程
- 選手の理解
- 継続性
- 再現性
- トレーニングリテラシー構築のためのコミュニケーション
これらすべてがトレーニングのプロセスです。
「ウエイトトレーニングの重量が伸びた」という結果はとても重要ですが、
それよりも、「なぜそういった結果を生み出すことができたのか?」という疑問を持つこと、そしてそうなった過程を振り返ることがもっと重要だと思います。
正しい動作で継続できているか、
トレーニングの意図を理解して取り組めているか、
という部分も同じくらい重要になります。
個別性はプロセスの中にある
チームスポーツでは特に、プロセスを重視すること、そして選手に大切だと説明し、考えてもらうことがチームのトレーニング文化を形成して行く上で重要だと考えています。
人数が多い環境では、すべてを個別に最適化することは現実的ではありません。
そのため、チーム全体としての方向性を持ちながら、プロセスの中で個別性を作っていく必要があります。
同じトレーニングを実施していても、選手ごとに筋力レベルやトレーニング適応性は異なります。
その違いを観察、または測定を実施することでチームの体力レベルを把握し、必要に応じて補助的なアプローチを加えることが、現場での個別性の実装だと考えています。
個別性は「特別なメニュー」を作ることではなく、
プロセスの中で判断し続けることなのかもしれません。
評価は「結果」ではなく「材料」
測定やテスティングも同じです。
スプリントタイムやジャンプ高といった数値は、そこまでのプロセスが少なくとも「妥当」だったと確認するための重要な「材料」となります。
しかし、それは結論ではなく、次の判断のための情報になります。
数値が伸びた理由は何か?
逆に伸びなかった理由は何か?
何が変化し、何が変化しなかったのか?
こうした問いを繰り返すことが、そして、そして、一緒にトレーニングしてきた選手にも同じように「自分の身体と向き合ってもらう」ための機会提供をし続けて行くことが、トレーニングのプロセスを前に進めて行くのだと考えています。
トレーニングは「積み重ねる」
トレーニングの変化は、必ずしも短期間で現れるわけではありません。
むしろ、最初は自分のキャパシティの中にあったものが小さな適応として表面化してくることが多いと思います。
そこから少しずつトレーニングを重ねて行くことで、また新たな「適応」が身体への積み重ねとして現れることになっていきます。
動作の安定性が少し上がる。
接地の感覚が変わる。
力の伝わり方が変わる。
こうした変化は数値には表れにくいですが、確実にパフォーマンスにつながっていきます。
プロセスを信じて継続することが、最終的な結果につながります。
指導者としての役割
指導者の役割は、結果を保証することではなく、
良いプロセスを設計し、観察し、修正し続けることだと思います。
トレーニングは一度作って終わりではなく、評価と実践を繰り返しながら変化していくものです。
その繰り返しの中で、選手の理解が深まり、動作が洗練され、能力が積み上がっていきます。
私は幸いにも、「結果」を出したチームにいくつか関わることができました。
だけど、振り返ると、「プロセス」が先で「結果」は後からついてきたものだと感じます。
私は幸いにも、これまで結果を出したチームにいくつか関わる機会がありました。
大学チームや社会人チーム、ジュニア年代の選手など、さまざまな現場を経験してきましたが、振り返ってみると、結果を追い求めたというよりも、プロセスを大切にし続けた先に結果がついてきたと感じています。
おわりに
スポーツやトレーニングでは、どうしても結果が注目されがちです。
しかし、現場で指導を続ける中で、トレーニングの本質は結果そのものではなく、そこに至るまでのプロセスにあるのではないかと感じるようになりました。
何を行ったかだけでなく、
なぜ行ったのか、何が起きたのかを考え続けること。
また、自分でコントロールできない「結果」の出来具合に一喜一憂するのではなく、自分でコントロールできることをより良い方向に継続していく努力をする。
トレーニングはすぐに何かを与えてくれる「魔法の薬」ではなく、自分が得たいものを手に入れるための一つの手段なのだと思います。


